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その日、久々の街遊びから帰ってきたレーニエはファイザルの執務室の扉を開けるなり、駆け寄って夫の顎に手を添えて唇を寄せて言った。
「ヨシュア? ***を****したら嬉しい? そんで、****か***で、**せてあげる。だから今夜ははやく帰ってきてね」
ブッフォオ! ガッシャン。
「わー、どうしたの? ヨシュア、くしゃみを我慢したの? あーあ、机の上の書類がびしょびしょだよ。拭かないと」
 レーニエは、妻の凛々しくも愛らしい唇から飛び出した聞く担えない卑猥な言葉に、飲んでいた茶を全部吹き、おまけにカップまで落として机上を台無しにしているファイザルに慌てて駆け寄った。
「ああ、これはひどい。JJ、何か拭くもの持ってない? あれ? JJ」
今日一緒に、王都の下町に連れ出してくれた赤毛の美丈夫は、いつのまにか姿を消している。つい今し方まで一緒にいたのに。
「もう……ヨシュア、ごめんね? あれ? ヨシュア?」
レーニエの大好きな頼もしい夫は、瞳孔を小さくして固まっている。その向こうで白目を剥いているのはジャヌーである。
「れ、レナ?」
「なぁに?」
男装の姫君は無邪気に自分のしていた、シャツのリボンを解いて夫の顔を拭きながら首をかしげた。いつもの彼女の癖である。
「俺の耳がどうかしてしまったようだ。さっき何かいいかけたようだが、レナ、あなたは何を言いたかったのかな?」
「さっき? ああ、だから***を……」
「わああああああ!」
周囲を敵に取り囲まれても、動じたりしない歴戦の勇士は顔を真っ赤にして、ごつい手でその口を覆った。
「ふが……」
「そんな言葉をどこで覚えた⁉︎」
「もがっ」
答えようにも顔の下半分を塞がれ、息もできないレーニエは抗議の証として、小さな握り拳でファイザルの暑い胸をトントンと叩いた。
「あ? ああ! レナ、すまない」
「もうっ! 苦しいよ! 死ぬかと思った」
「そんな恐ろしいことを言わないでくれ、レナ。でも、あなたはさっき」
「ああ、**……」
「だああああああ!」
「な、なに?」
「あなたはどこまで意味がわかって言ってるのか?」
「いや、実はわからない。でもさっきJJが連れて言ってくれた、綺麗なご婦人がたくさんいるお店で、女の人が……うん、あれはきっと好きな殿方に言ってたんだろう」
「……」
「とても魅力的な笑顔でね、最後だけはわかった。今夜きてねって言ってたから、多分愛の言葉だと思って、JJに尋ねたらそうだって」
「へえええ〜」
ファイザルの声は地を這うように低くなった。
「だから、私も使ってみた!」
「……で、奴はどこだ?」
ファイザルの目は部屋の隅で真っ青になっているジャヌーニ向けられている。
「さ、さぁ。俺は存じません。閣下が茶をお吹きになった瞬間、姿を消されてしまわれました」
「殺す!」
「ヨシュア?」
「俺のレナを娼館などに連れて行きやがって、しかもいかがわしい言葉を俺のレナの耳に……くそ!」
「ヨシュア? さっきから何をぶつぶつ。怒ってるの? 約束を守るんなら街遊びは行っていいって言ってくれたでしょ?」
「レナ、さっきの言葉はもう使ってはいけない」
「なんで? 意味と訳を教えて」
「あなたの可愛い耳と口が穢れる」
「は?」
「ジャヌー!」
レーニエの疑問を無視してファイザルは部下に氷の視線を送った。
「は……はっ!」
「すぐにあいつをここに連れてこい! あ、レナはもうお母上の元に帰っていなさい」
「? うん。だけど、今夜はヨミセがあるんだって! JJと一緒に行こうと約束したんだ。ヨシュアも一緒に行こう! 非番だって言ってただろう? みんなで行こう! ヨミセ!」
ニコニコしながらレーニエは執務室を出て行き、後にはどす黒い顔色になった将軍閣下と、茹でた青菜のような様子の部下が残された。



<(希望があれば)続く!>


ヨミセとは多分夜店のこと。
さてレナたんの言ってた***にはどんなセリフが入るのでしょうか?

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